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「あ~…気にしないで!普通そう思うよ!」
空葉にしてみれば少しからかうだけのつもりだった。しかし、それで本気で落ち込まれては話しは別だ。
「…すいません…えっと…ここではあれなので私の部屋に行きましょう!」
「え?あっ…うん、わかった」
ここで新たな疑問を見つけた。本来はもっと早く気づくべきなのだが、そこは空葉の空葉たる所以だろう。
(なんで恋ちゃんは僕なんて誘ったんだ?)
そう、さっきとは逆の考えだ。自分が必死になっているのもよくわからないが、恋の考えも全くわからない。
(…きっと話し相手が欲しかったんだよね!いっぱいお話ししてあげなきゃ!)
ゴーイングマイウェイ空葉。
一度考えたら止まらないので他の理由なんて考えもしない。
よく言えば一途、悪く言えばバカだ。
恋の病室は紅葉達がいる診察室から離れていて、桜が見える所だった。
「どうぞ、その椅子にかけてください!」
「うん、あっ!これお土産だよ!」
「えっ!?すいません、気を使わせて…」
「気にしないで!勝手に買ってきたんだから!」
「…ありがとうございます!」
こうしてみると普通の女の子に見えるのだが、よく見ると少し息が荒い。多少無理をしているようだ。
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