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桜を見つめて2、30分が経ったときだった。少女が目を覚ましたのは。
「ん…あれ…わた…し?」
「あっ!目が覚めた?僕は大森空葉!よろしくね!」
少女はまだ寝ぼけているのか、空葉の顔を眺めている。
数秒後…真っ赤に顔を染め上げた。
「ひゃっ!?あ、あ、あ、あなたは!」
「あ~怪しいものじゃないよ…って信じてくれないよね~紅葉呼んでくるね?」
「あっ…いいですよ、信じますから…少しここに居てくれませんか?」
「へ…?別にいいけど…あっ、さっきいろいろ聞いちゃったんだ…」
やはり、病気の事まで聞いてしまったら言うべきだろう。
「へ!?わたし…寝言でなにか言いました!?」
「いや、違うよ?紅葉に名前とその…病気の事を…」
「それだけですか?…よかった…」
「赤城さん?顔が赤いよ?やっぱり熱があるんじゃ…」
無意識に空葉は額を恋の額にあてた。熱を計ろうと試みたのだがこれも、ある事実を思い出すのみに留まった。
「ひゃあ!?……あれ?…あなたの方が…」
「そういえば…僕、風邪ひいて……」
空葉はそこまで呟いて意識を手放した。
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