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「風邪ひいてたのに私の所に…ありがとうございます。やっぱり…思った通りの人です…」
恋は意識のない空葉に囁いてナースコールに手を伸ばした。
しばらくすると紅葉がやって来た。
「空葉~?どうしたの…って恋ちゃん起きたんだ。よかった…気絶した恋ちゃんを空葉が抱き抱えてきたのよ。」
瞬間、恋の顔が火照る。
「だ、抱きしめっ!?」
「あっら~?恋ちゃん顔真っ赤よ?」
にやにやとからかうような目を向けてくる紅葉から逃げるように恋はうつむいた。
「ふふっ、いつもみたいに遠くから眺めるのとは違うかしら?」
「紅葉さん、知ってたんですか!?」
「ふふっ…空葉を見ててね?私は診察に戻るわ」
「えっ!?」
「まかせたわよ~」
「紅葉さぁ~ん…」
恋の嘆きは窓から入ってきた風にかき消された。
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