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「さて!紅葉呼んで帰ろうかな」
「えっ!?もう帰っちゃうんですか!?」
もうとは言っても既に六時半。4月ではもう暗くなりはじめる時間だ。
しかし、恋の残念そうな顔が空葉の心を揺らす。
「えっと…じゃあまた明日来るよ!」
「本当ですか!?…あっ…でも無理しないでくださいね?」
恋の頭には先程空葉が倒れた記憶が浮かんでいた。
「うん!さて、また明日!」
「はい!お気をつけて!」
空葉が居なくなって部屋を静寂が包んだ。既に外は暗くなっている。
「大森…空葉さん…」
誰に届くわけでもない呟きは窓から入ってきた桜の花びらを連れた風邪に消えた。
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