断崖という名の道で

2/7
前へ
/228ページ
次へ
風がそよ吹くたびほんのりと広がる海の香り。 聞こえるのは、波が岩壁を叩き付ける音のみ。 右側には海と空が、その境目が分からないほど青く、混じり合っていた。 「すごいなー……」 坂道を上りながら、そんな美しく広大な自然にのんきにも驚嘆する拓也。 だがすぐにそんな思考を中断し、前方に向き直った。 (……落ちたら大変だ……。 今は歩くことだけに集中しよう) そして拓也は俯き加減となり、歩み続ける。 ――そう、一歩一歩、確実に近付いて行く。 彼の運命が変貌するその場所へ――……。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

870人が本棚に入れています
本棚に追加