プロローグ

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これにより話は数日前のこと。 この時、拓也はリビングでテレビを見ていた。 ガチャッ 「ママ、ただいまー」 ドアの音と同時に拓也の父の声が響いた。 (なんだか今日はやけに機嫌がいいな) いつもより大きい声にそう思う拓也だった。 「ママ、これ見て」 リビングに着いたなり、台所で何やらしている拓也の母に言った。 そして、近づいて来た拓也の母に一つの封筒を渡した。 「何、これ?」 そう言いながら封筒をじっくりと見るが、わかった途端、感激の涙を浮かべた。 「パパ、これって……」 「そうっ、入学届けさ!」 拓也の母の言葉を遮るように拓也の父は言った。 「に、入学届け~!?」 拓也は驚き、スパッと立ち上がる。 「これで高校浪人しなくてすむわ~」 拓也の母と父は喜びのあまり、抱き合っていた。 「ちょっ、その入学届けどうしたの!?」 拓也の話を無視して抱き合っている二人に叫んだ。
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