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カノンは直ぐに反応して構えた。 草むらから現われたのは金髪碧眼の男性。 彼はカノンを睨むと、懐から何か棒状の物を取り出した。 それは細長い木の棒の先端に月と太陽をかたどった杖だった。 「貴様……そこで何をしている」 カノンはクスリと笑う。 「何がおかしい?」 彼は、苛立たしそうにカノンの言葉を待った。 しかし、カノンはただ嘲笑うように男性を見ているだけだった。 [パチンッ] カノンは笑うと同時に指を鳴らした。 すると男性の手から杖が吹っ飛び、いつのまにかカノンが彼の杖を持っていた。 「一国の神官のくせに弱いね……それでも選ばれた存在?」 神官は悔しそうに顔を歪めた。 無理もない。 明らかに年下の少女に、こんなにも馬鹿にされているのだ。 .
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