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カノンは顔は笑っているが、目は全く笑っていない。 金色の瞳は冷酷さを映していて、琥珀色の髪はいつのまにか黒に戻っていた。 「かかってきな」 カノンは淡々と話す。 それがより一層恐ろしさを引き出す。 なかなか神官が来ないので、痺れを切らしたカノンは彼の杖を片手でへし折った。 「来ないんならこっちから…「神官様!!」 数人の若い兵士が、カノンと神官の前に現われた。 カノンは邪魔されたのが余程悔しかったのか、舌打ちをしている。 「どうした?」 「それが…城に侵入者が入ったらしくて……」 「侵入者だと!?」 兵士はゆっくりと頷く。 辺りを見回すが既にカノンはいない。 「くそっ……」 神官は、自分の腑甲斐なさに拳を力強く握った。
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