月と海の色

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カノンの瞳は時が経つにつれ鋭さを増していく。                                      しかし、当の本人はカノンの事をただ見つめるだけだった。                                 彼の瞳は悲しみや怒り、淋しさなど様々な感情が入り交じっているように見えた。                       カノンはその事を気にもせずに、ただ感情を露にした。                                                  「私が魔女なんて…何ふざけた事言ってんのよ!!!」                    「………」                                         少年は何も言わずただカノンを見ている。                          その態度が気に食わなかったのか、カノンは少年の胸ぐらを強引に掴んだ。                                         「一つだけ言わせてもらうわ…」                               「私は正真正銘“純血の魔法使い”よ…そこらの半端もんや、汚れた一族と一緒にしないで………」                              少年は「分かった」と頷くとカノンの腕をどかした。                                     カノンは彼を一瞥すると、ドアに手を掛けた。                                       .
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