月と海の色

8/9

90人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
               「あーえっと……」                                     さっきからトウヤは言葉を濁すだけで、確信について全く話さない。                             「ねえ、何でよ」                       「んーと……」                        「ねえったら!!」                                                    あまりにもカノンがしつこいのでトウヤは仕方がなく話した。                                               「実は俺はちょっと訳有りで…」                               「訳有り?」                                        トウヤは静かに頷く。                                   「俺は…ある事情があって特例でこの城で保護されてるんだ」                                「そうだったの…」                      カノンは少し申し訳なさそうに、呟いた。                          「あっ!でも使用人の人達は優しいし、王や大神官様なんてしょっちゅうここに来てくれるんだ」                               トウヤは落ち込むカノンを見て、慌てて付け足した。                                    そして顔を少し伏せ横目でカノンを見た。                          「実はカノンにお願いがあるんだ…」                            「お願い?」                                        トウヤは顔を上げ、言った。                                               「また…ここに来てくれないかな…」                                           .
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90人が本棚に入れています
本棚に追加