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「あーえっと……」 さっきからトウヤは言葉を濁すだけで、確信について全く話さない。 「ねえ、何でよ」 「んーと……」 「ねえったら!!」 あまりにもカノンがしつこいのでトウヤは仕方がなく話した。 「実は俺はちょっと訳有りで…」 「訳有り?」 トウヤは静かに頷く。 「俺は…ある事情があって特例でこの城で保護されてるんだ」 「そうだったの…」 カノンは少し申し訳なさそうに、呟いた。 「あっ!でも使用人の人達は優しいし、王や大神官様なんてしょっちゅうここに来てくれるんだ」 トウヤは落ち込むカノンを見て、慌てて付け足した。 そして顔を少し伏せ横目でカノンを見た。 「実はカノンにお願いがあるんだ…」 「お願い?」 トウヤは顔を上げ、言った。 「また…ここに来てくれないかな…」 .
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