90人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
あれから、暫くたわいもない話をした後カノンと別れた。 さっきまで、カノンが笑い掛けていた場所を見ると自然と笑みが零れる。 本当に久しぶりだ。 誰かと笑いあうなんて…… 俺は自分の首筋に手を当てた。 月の形をした小さな痣が、あの日の記憶を思い出させる。 俺の未来を奪った魔女の事を… 小さくため息を吐いた。 [コン、コン] すると小さなノックの音が聞こえた。 こんな時間に誰だろうか? 「誰だ?」 俺は呟くように聞いた。 「私でございます。王子」 聞き慣れた、よく通る声が聞こえた。 「入れ」 それを合図にゆっくりとドアが開いた。 .
最初のコメントを投稿しよう!