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「………」 大神官は何も言わずただ俺の事を見た。 俺はゆっくりと顔を上げ、彼女と視線を合わせた。 頬に冷や汗が伝う。 「………なんだ」 「………!」 俺は深呼吸し、もう一度言った。 「友達なんだ」 大神官は瞳を大きく見開いて驚いている。 「それはどういう意味ですか…?」 「初めてだったんだ…父上や母上の紹介じゃない、自分でつくった友達‥‥」 また頬が濡れた。 緊張しすぎて冷や汗をかいているんだろう。 俺は気付かなかった。 それが冷や汗ではなく、涙だということを… 「分かりました、一週間待ちましょう。それ迄に話を付けといて下さい」 大神官はその後音もなく、俺の部屋を出た。
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