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「人の事呼び出した挙げ句、待たせるとはいい度胸ね……」
カノンは指をゴキっと鳴らした。
「いやっ…その………」
トウヤの顔は真っ青だ。
「問答無用!!!」
カノンは、無理矢理トウヤの襟を引っ掴み一発殴ろうとした。
[ぽすっ]
「えっ!?」
カノンは驚きを隠せない。
かなりの速さで放たれたカノンの拳を、トウヤはいとも簡単に止めたのだ。
魔法使いの鉄拳を、人間の腕力で止める事はまず無理。
―――な筈だ。
「な…何でぇ?」
「………;」
カノンはすっかり落ち込みトウヤは呆れた。
「あのさ…カノン」
「確かに俺は、病弱だしへタレだけど…一応男なんだよ」
トウヤはカノンの手を放しながら言った。
しかしカノンは何も言わずただ、トウヤを眺めていた。
(魔法使いが人間に力負けするなんて……ありえないわ!!)
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