前半

11/78
前へ
/164ページ
次へ
「偉いねぇ」 と姉が初めてほめてくれた。 「あっくん、ありがとう」 目を見てお礼を言われるなんて初めてだ。なんだか照れくさい。 アキヨシは掛け布団を頭から被った。 「何か変な感じだ」 と呟いてみた。 布団から跳ね上がり、宝箱まで走った。 宝箱からパイナップルを取り出して、アキヨシはずっと見ていた。 何か調子狂っちゃうよなぁ。いかしてないよなぁ。 アキヨシはパイナップルに目と鼻と口を書いた。笑顔だった。 洗面所に走り、姉のリボンを持ち出した。赤いリボンをパイナップルヘアーにつけた。 パイナップルは女っぽくなった。 「わたし、こういうの、趣味じゃないのよねぇ」 とパイナップルが言ったような気がした。 明日からまた僕らしくしよう。いい子じゃつまんないもんね。 アキヨシはパイナップルを宝箱に戻して、布団に入った。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加