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保育園の友達はアキヨシのそんな思いを知らない。
いつもどおりに砂場で遊んでいるだけだ。
「あっくん、おはよう」
声をかけてきたのは園長先生だった。
アキヨシは元気に返事をした。
「今日は何して遊ぶのかな?」
「富士山つくるよ」
とアキヨシは言った。
砂場でお城を作っている女の子に声をかけた。女の子は体で包むようにお城を守って、アキヨシを警戒していた。以前のアキヨシだったら問答無用で蹴り壊しているところだ。
「もうしないよ」
とアキヨシは言った。
女の子はまだ警戒している。
「もうしないから、ごめんよ」
アキヨシは妙に素直だった。女の子はそこがまた怪しいと思っているような目つきでアキヨシを睨みつけている。
アキヨシは黙ってその場を離れた。
鬼ごっこをしている友達に混ざっていった。
アキヨシが反省したところで、友達は以前と変わらず動いている。
砂で作ったお城を壊す気もなくなったし、油性のマジックで落書きをする気もない。でも何かおもしろいことがあるはずだ。
アキヨシは模索していた。
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