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「ひどいのよ、この子」
夜の食卓。姉は母に楽しそうに公園での話をしていた。
「それにしても、あっくんって木登り上手」
「俺が教えたんだよ」
父が得意気に言った。
「男子たるもの、木ぃぐらい登れないとな。女の子にモテないだろ」
「あなたが教えたのね。どうりで上手いわけよ」
「いやいや、アキヨシの才能だよ。才能のないやつに教えたって上手くはならないさ」
アキヨシは嬉しかった。今以上に木登りが大好きになった。
明日もまた登ろう。明日は保育園の木に登ってやる。
そしたら砂場の女の子も僕を許してくれるかもしれない。
砂のお城壊しちゃってごめんねって謝れば許してくれるかもしれない。
だから保育園の木には登ったことがないけど、やってみる価値はある。
あの大きな木に登ったら気持ちいいだろうなぁ。
アキヨシはそんなことを思いながら、夜ご飯を食べていた。
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