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その日は熱帯夜だった。アキヨシはなかなか眠ることができなかった。
となりで寝ている姉の肩をゆすって起こした。
「ねぇお姉ちゃん」
「なぁに?どうしたの、あっくん」
姉は眠そうな声でアキヨシに言った。
「眠れないの?」
「うん」
「でも冷房つけたら風邪ひいちゃうよ」
「水風呂もだめ?」
「そうねぇ。こんな時間に水風呂入ったら風邪ひいちゃうかもしれないわねぇ」
姉は困った顔をして、アキヨシを見ながら考えていた。
「窓は開けてるしねぇ」
姉はしばらくベッドにすわって考えていた。どうしたものかと唸りながら、とりあえず蛍光灯をつけた。
姉の表情がけわしくなった。
「あっくん?!顔赤いよ!熱あるんじゃないの?」
姉は僕のおでこに手をつけた。
そういえば熱っぽい気がする。
姉は急に立ち上がって、アキヨシの手を引っ張って母の寝ている部屋へと歩いた。
母は何事かと驚きながら、姉の話を聞いた。
「きっと夏かぜね」
そう言って母は薬箱から液体の風邪薬を取り出してアキヨシに飲ませた。
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