前半

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イタズラ好きのアキヨシ君は5歳。 アキヨシ君の姉は14歳になったばかり。 今日は僕一人で庭にクギを打った。テレビで地球温暖化の番組をみたからだ。 このままでは地球は全て海に沈んでしまうらしい。 アキヨシ君は父親の工具箱からカナヅチとクギを取り出した。 30センチほどの長いクギ。これなら大丈夫だ。 アキヨシ君は庭に出て、芝生の上にクギを打った。 地球温暖化がやってきて海に沈んでしまったとしても、クギを打っておけば大丈夫。安心だ。 アキヨシ君の父親は建設現場で働いているから、工具箱には色々な物が入っている。 大きなカナヅチもあった。30センチもの巨大なクギを打つのに適した大きなカナヅチ。 家の窓がそろりと開いて、姉が顔を出してきた。 「あっくん、何してるの?」 アキヨシは事情を説明した。 「地球温暖化がやってきて、海に沈んじゃうから、クギを打って補強しているんだよ」 姉は笑って首を振った。 「ばかねぇ。とにかくカナヅチとクギをしまって家に入りなさいよ。水風呂にでも入って頭を冷やすといいわよ」 そう言って姉は窓をゆっくり閉めた。
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