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「持ってってね……まぁ……何かを信じて……信仰や愛情、友情、正義も悪も金も名誉も……寄り添ってる奴は結局の所……捨てきれないのさ……弱さを……傷を舐め合う快楽を……僕が負けるわけない……じゃあね」
そう言い黒服の男は
ポケットから小瓶を取り出し
自らの頭や体にしっかりとかけ
煙草をくわえ笑って
ライターに点火した
男の体にかかった灯油にすぐさま引火し
真っ暗な校庭にポツンと
火柱が上がる
「煙草……勿体なかったな」
そう言い残し
男だった塊は崩れていき
異臭を放ち
肌が膨らみ破裂し
倒れた後もなお炎は男を責め続けた
『では行くか……人形の残骸は風がさらうだろう……』
見えない声の気配も
やがて消えていく
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