5章 変わらぬ志

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とうとうこの島で二度目の夜を迎えようとしていた。 周りの景色は漆黒の闇に覆われ始め、視界が急激に悪くなる。 麗が小屋の隅につけてあるランプに火をともす。オレンジ色の炎が小屋を仄かに明るく照らし出した。 「なんか…いいなぁ。癒されるなぁ。」 何故か哲さんはランプに異常な興味を示している。 俺は後二日ほどしか保たないであろう缶詰を一つ手に取る。 「みんな、そろそろ夕飯にしよっか。」 まだ時間は早いが、俺の腹時計はすでに午後八時くらいだ。 空腹に慣れていないからだろう。 「うん。私もお腹すいた~。」 「そうね。そうしましょう。」 食事は缶詰一つに水。確実に物足りない。まだ食糧があっただけで喜ぶべきだろう。 人は不思議と一つの物を手に入れると、さらにその先も手に入れたくなる。人の性だ。 開いた缶詰の中身は『焼き鳥』だ。それをつまむはしなんかない。俺はそれにむしゃぶりついた。 空腹の時はなんでもうまく感じるというが、それが今身に染みてよくわかる。 「うまい…うまいなぁ…。」 俺はそれを一口一口噛みしめた。今まで食べ物をこれほどうまいと感じた事があっただろうか。
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