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相澤さんに弱味を握ろうとする理由を遠回しに聞くと、よくぞ聞いてくれました!と言わんばかりに話してくれた。
やはり動機は不純であり、愛想笑いすらできず、とりあえず話を代わりに纏めてみた。
「つまり、キャロルのライブのチケットを手に入れたいって事ですよね?」
「そういう事~。頭良いね☆てか、そろそろ名前教えてよ。」
「佐藤です。」
危険人物度で言えば、スタックの桐生さんと大差がないため、迷わず偽名を使う事にした。
「佐藤君かぁ。」
信じきっているようで、うんうんと頷いていた。
それにしても、この人は一つ一つの言動を楽しそうに表すのが上手いな。
「でも、男でキャロルのファンとか珍しいですね。ライブの時は大多数が女性ファンだったんで。」
「違うって、俺じゃなくて彼女が好きなんだよ。もうすぐ彼女の誕生日だし喜ばせたいじゃん。」
「えっ!?じゃあ、何で俺の事がわかったんですか?相澤さんはライブに来てないのに。」
「彼女が持ってる音楽雑誌を見せてもらったってわけさ!何かどっかで見たことあんな~、ってね。それにしても、気付く俺って天才じゃね!?」
こんな人にバレるとは…まだまだメイクの勉強が必要だな。
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