花札

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「というか、名波幸太郎って世界で活躍されてる写真家じゃないですか?何で俺なんかを…?」 冷静になり、ふと思ったんだ。 いくら何でも話が上手すぎるっ、てね。 相変わらず人や物事に対して、妙に冷めてしまう自分を哀れに思うよ。 「前に『PARTY』で夜叉のメイクとアクセサリーを着けて登場くれたよね?それと和彫りが凄く合っていて、是非撮らせて欲しいって。これは、本当に凄い事だよ!」 「うわぁぁ、すっげー!マジで夢みたいだ…てか、全然、信じらんないんですけど!マジで嬉しい。」 見てる人は見てくれているんだ。 しかも、大物カメラマン。 「ははは、僕も嬉しいよ。今度打ち合わせがあるから、詳しい日時は後程。それじゃあ、またね。本当に、おめでとう。」 「ありがとうございます!失礼します。」 プープープー… 通話が切れた音が聞こえ、浮かれながら足をブラブラしていたら、ふと思い出したんだ。 そうだよ、チケットだよ。 足は、止まった。自然に。
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