ドレミのレ

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「無の音楽」 ―薄っぺらなビート― 目を閉じる 耳をふさぐ 無の中 座って体を縮こませる 外界(そと) からの 情報(おと) を 受けつけないように 刹那 耳を塞いだ手の皮膚を貫き 響きわたる爆音 湧き上がる歓声 命の叫び たくさんの魂の輝き 熱狂の渦 一定のリズムで刻み続ける無機質な金属の音 舞い上がり続ける砂塵 駆け抜ける鼓動 焼けるような熱さ ああ 今 俺は ロックの中で生きてるんだ そんな錯覚に陥りそうになる 耳から手を離す 目をひらく その瞬間見えた 飛び散る血しぶき 瓦礫の山 絶望の叫び 響きわたる罵声 泣き叫ぶ子供 全てを焼き払う炎 凄惨極まりない光景 騒乱の中 見出したおとの世界は 中身は薄っぺらな 殺戮の世界だった
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