00 可能性

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 私はもう会えなくなるというその言葉を聞き、体を震わせた。  嫌だと泣き叫んで、彼に縋ることが出来たらどれだけ楽になるだろうか。 でも、彼にはどうしようもない事。私は彼を困らせたくない。 溢れそうになる涙を、私は必死で止めた。 『でも、大丈夫だ。俺はいつでもお前のそばにいる』  彼はそう言い、笑った。 今度は嬉しそうな笑顔で。 『お前を愛してるから』  終わりが来る事は初めから覚悟していたのに、泣いては駄目だとあれほど我慢したのに。 涙がポタポタと草原に落ちていった。 『これから、新しく好きな人も出来るだろう。その時は俺のことなんて気にするな――お前の幸せが、俺の望みだ』  太陽は少しずつ空へいこうと、地平線から這うように昇る。 それに伴って私の意識は沈んでいく。 『いいか、これだけは絶対忘れるな』  彼の姿が霞む。 手を伸ばしても届かない。 『可能性は』 「ゼロじゃない」  私はそう言って、微笑んだ。
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