平凡な毎日

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竜也は左足を一歩前へ出し、肩に掛けたエナメルバッグを掴み取り、構える。そして、走ってくる愛香に絶妙なタイミングで振り回し、当てた。   スクールバッグよりエナメルバッグの方が肩紐が長い分、射程が長い。 それに、今日はテスト前だから辞書が計3冊入っている。とっても重たい。   ごつん!     エナメルバッグは愛香の頭に当たって、少し跳ね返った後で下に落ちる。   竜也は紐を引き、鞄を引き寄せると、動きの止まった愛香にもう一度言う。   「危ないだろ!愛香!」   愛香と呼ばれた少女は竜也を指さし叫ぶ。   「エナメルバッグ振り回すアンタが悪い!もし転んでスカートめくれたらどうすんのよ!」   「別にお前のなんか見たくねぇよ……」   竜也は当然だと言う感じで言った。
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