見慣れた町の見慣れぬ人たち

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きな臭い…? 私たちはまた廊下へと視線を移すと小さく悲鳴をあげた。 廊下が うちっぱなしのコンクリートが 全てが  燃 え て い る  即座にシリンダー錠を外し、廊下へと走り出る。 火が燃え上がり、やっとの思いで階段へと辿り着く。 だけど上がってきた階段は既に火の海だった。 辺りを見回すと目についたのは、緑の…灯り 非常階段!! 私たちは階段を駆け上がった。 火は上にむかって燃えるのに 三階は既に火に舐め尽くされていた。 そのまま階段を上りドアをあけるとそこは屋上だった。 風に煽られ、火は瞬く間に屋上を覆った。 熱い 肉の焦げる嫌な臭いがする どうにかして火から逃れようと踊り狂っていると、感じた、浮遊感 柵を超え、屋上から落ちていた。 屋上から落ちたら、死ぬよね。普通。 でもそれで全てが楽になるなら私は…… だって今は焼ける肉の焦げた臭いも、火も、何もない。 ただただ 生暖かいだけ ん? なまあたたかい? ふと下を見ると 美菜「チェッ、チェシャ猫!?」 紛れも無い、チェシャ猫だった。 即座に辺りを見回してもえいじの姿は、無い。 美菜「チェシャ猫っ!えいじは!?えいじはどこ!?」 私はチェシャ猫を問い詰めた。 チェシャ猫「それは直にわかる事さ。」 何を言ってるんだろう、この猫は… 猫のしなやかな手が、私の頭に置かれた。 すると震えも、恐怖も、興奮も、吸い取られるように消えていく。 私はゆっくりとチェシャ猫の上から滑り降りた。するとすぐにまた何かが落ちてきた。 アリスだ。 美咲は? 紗耶香は? リサは? ひとみは? そんな疑問もすぐに打ち消された。 .
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