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~九月三十日~
牢屋で、いつもと変わらぬ時間を送ると思っていたら、面会だと言われ、おとなしく警官についていった。
今更誰が何の用事で………?
部屋に入ると、懐かしい人がそこにはいた。
「久し振りだな、七瀬さん」
「お久し振りです……」
丁寧な口調で、彼は返事をした。
「それで、一体何の話ですか? 」
パイプ椅子に腰を降ろして、七瀬と向かい合いに座った。
「……事件の謎はほぼ解決した。あなたの一族のことも……あの山での出来事も」
「だったら、尚更何の用事ですか? 」
「……私には分からない。何故、今まで逃げてきたあなたが、今年に限って逃げなかった? 今回も、城崎君達を殺して証拠湮滅しようと思えば、簡単に出来たはずだ」
物凄く大まじめな顔で聞いてきたことが、それだった。
「俺の敵が、何でそんなことを知りたがるんだ? 」
「どうも腑に落ちなくてね」
まったく、面白い男だ。
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