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「あれは……今から十五年前だったな」
何も知らず、ただ毎日を平凡に過ごしていたあの日々からだった。
~十五年前~
高校生だった俺は、柄は悪く、悪事を働いて、何度も警察のお世話になるしょうもない不良だった。
とても真衷一族の一人とは思えないぐらいに……酷い生活をしていた。
「ふわぁ~…」
口から大あくびが出た。
この時も、いつもと変わらぬ時間を過ごすのだとずっと思っていた。
「真衷、夏休み何か用事あるか? 」
俺の腐れ縁の松井が、額の汗を拭ってから、言ってきた。
「親族と会って飲み会ぐらいはあるとは思うが……たぶん暇だぜ」
「よっしゃ! じゃあ肝試しやろうぜ!! 」
「…………やっぱ暇じゃないわ」
つまらなさそう。というよりもつまらないだろ、そんなの。
「お前さっき暇だって言ったじゃん!! 」
「肝試しとかなら俺は行かないぜ」
「何でだよ~。クラス全員で行くことになってるのに~」
「遠足並みじゃねぇか!! 何処に行くんだよ!! 」
「ふふふ……よく聞いてくれた!! 」
呆れている俺をよそに、松井は得意気に話し始めた。
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