触感

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肌色の海に浮かぶ一艘の船があった どんな嵐でさえもこの船を沈める事は出来ない この船を覆い尽くす様な波でさえも そのうねりの中にこの船を飲み込む事は出来ない この船を吹き飛ばす様な風でさえも その渦の中でこの船の行く先を変える事は出来ない この船を押し潰す様な雷雨でさえも その轟きの中でこの船を留める事は出来ない この海がこの船を浮かべている限り この船がこの海に浮かんでいる限り 沈む事はなく互いに均衡を保っている 船底と水面はその合間に浸かっているのだ
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