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「私の魚捕ったでしょ!」
「いや、僕は食べてないね。
そこの貯金箱を見てみろよ。多分入っているさ」
箱をあけると、魚がいた。
ぴっちぴちの美味しそうで脂がぷよぷよとついている。
これを塩焼きにしたら、さぞかし美味しいだろう。
私は、貯金箱から魚を取りだして振り回した。
ぶんぶんぶんぶんぶんぶん。
蜂がこの部屋中にいるみたいな音がする。
いい音だ。
もう少しで焼けるだろう。
ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん。
ほら、焼けた。熱々で美味しそうだ。
彼は物欲しそうな目で、魚を見ているがあげるものか。
これは、私が釣って焼いた魚だ。
私が食べるしかないじゃないか。
彼の目の前で、美味しそうに食べてやった。
脂はとろとろ、身はふわふわ。
最高だ。
彼はそっぽを向いて怒っているようだ。
まあそんなことは気にしないで食べよう。
美味しいものは、一人で食べるのが一番だ。
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