貯金箱に魚

2/2
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「私の魚捕ったでしょ!」 「いや、僕は食べてないね。 そこの貯金箱を見てみろよ。多分入っているさ」 箱をあけると、魚がいた。 ぴっちぴちの美味しそうで脂がぷよぷよとついている。 これを塩焼きにしたら、さぞかし美味しいだろう。 私は、貯金箱から魚を取りだして振り回した。 ぶんぶんぶんぶんぶんぶん。 蜂がこの部屋中にいるみたいな音がする。 いい音だ。 もう少しで焼けるだろう。 ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん。 ほら、焼けた。熱々で美味しそうだ。 彼は物欲しそうな目で、魚を見ているがあげるものか。 これは、私が釣って焼いた魚だ。 私が食べるしかないじゃないか。 彼の目の前で、美味しそうに食べてやった。 脂はとろとろ、身はふわふわ。 最高だ。 彼はそっぽを向いて怒っているようだ。 まあそんなことは気にしないで食べよう。 美味しいものは、一人で食べるのが一番だ。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!