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「あった、あった。やっと見つかったわ」
そう言って彼女がバックから取り出したのは、一本の筆だった。
これが爆弾なのだろうか。
僕はすぐ逃げられるように、大きな深呼吸を何度もした。
「あのね。この筆であなたの芸術を爆発させて欲しいの」
拍子抜けしてしまった。
爆発というから、てっきり爆弾だと思ったのに。
「ああ芸術だったんですね。てっきり爆弾かと思いました」
「違いますよ。じゃあ今から行きましょう。アトリエに」
僕はあれから絵を描き続け、世界的に有名な画家になった。
もちろん彼女のスカウトのおかげだ。
あの彼女は、今では僕の奥さんになった。
可愛い子供も二人産まれて、すくすくと大きくなっている。
あのとき逃げなくてよかったと、今でも思っている。
「あなた爆発する?」
妻は、筆を持ち言う。
「ああ。するよ」
僕はそれを受取り、キャンパスを爆発させる方法を考え始めた。
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