占い師と男

2/3
前へ
/34ページ
次へ
「ちょっと聞いてください。最近彼女と上手くいかないんですよ」 机の前にある椅子に座った男は、急に喋り始めた。 久しぶりに、男の客が来たなと思った。 「何があったんですか?」 とりあえず、質問をしてみる。 占いの基本は相手の情報を聞き出すことだ。 「あのですね。彼女とおっぱいのことで喧嘩しまして、それから口を聞いてくれないんですよ。何か解決方法ないですかねぇ」 男は、机をぱんと叩き顔を近付けてきた。 うっとうしいので、すぐに占いを終わらせようと思った。 水晶に手を近付け相手の心の中を探るように見つめる。 「見えました。見えました。彼女の心の中が」 心の中なんて見えるわけはないのだが、見えるふりをしておく。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加