狼の噂

6/7

14人が本棚に入れています
本棚に追加
/179ページ
学校を出て振り返ると、あたしの教室の前の廊下が見えた。 そこで誰かが立ち止まり、こっちをみていた。 その人影はすぐに小さくなって見えなくなった。 蓮はまだあたしの手を引っ張っている。 「…蓮!」 蓮はぴたっと立ち止まった。 「…おう、」 我に返ったようだった。 「蓮、どうした?」 「いや、松下ってやつの話きいたらさ…そいつに薫を見せたくなくってよ。」 ぽりぽりと頭をかく蓮。 「噂だよ、ただの。それにあたしなんか見たところでそいつも萎えるって。」 あたしが笑いながらそう言うと、蓮はあたしの肩を掴んで見つめてきた。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加