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「…何?」
「ほんとに、姉貴に似てるよ。」
あたしはその言葉に心臓が大きく脈打ったのを感じた。
「似てること、お前気にしてたじゃん。でもさ…その顔は姉貴のじゃなくてお前のでもあるんだよ。姉貴がキレイだからお前もキレイなんじゃない。薫が、キレイなんだよ…」
蓮はあたしを抱きしめた。
「…こんなキレイな彼女の目の前に、松下みたいな狼が現れると思うと…心配になるに決まってんじゃん…」
細いのに筋肉質で、すらっと高い身長。
フワフワした茶色い髪が、少し垂れかかる広い背中。
あたしにしがみつくように抱きつく蓮が、愛おしい。
あたしのコンプレックスを、こんな風に思ってくれる蓮が愛おしい。
あたしは、夕日が沈む紅い空の下、蓮の広い背中に手をまわした。
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