視線と嫉妬

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越そうとしても越せない。 高い壁がある。 だったら… あたしはスリーポイントよりもっと離れた場所へ走った。 そして、松下の手が伸びてくる前にボールを放った。 空に弧を描いてボールが飛んでゆく。 リングにぶつかることなく、網を通り抜ける気持ちのいい音がした。 体育館には歓声があがった。 「館石すげー!」 「女かよ!」 「かっこいい!」 歓声の中、松下が小さく笑いながらあたしを見ていた。 あたしは松下を睨んでいた。 そして、蓮も体育館の隅っこで松下を睨んでいた。
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