初めての

2/3
前へ
/7ページ
次へ
とはいえ、初めて書いた(宿題以外で)のは、5年くらい前。7年間も夫だけが好きだったのに、突然恋に落ちました。 ――恋は、するものじゃなくて落ちるものなんだ―― 映画のワンシーンのこのセリフがずっと、耳にこだまし続けました。切なさを初めて知りました。切なさが充満した身が、ちぎれそうに思えました。 オークションのネットの中で素顔を出している強さ。優しい真摯な応対。人を楽しませる文章。彼とメール出来る全ての人が、羨ましく妬ましく思えました。 彼とメールするために、毎日笑わせるネタを考えました。自分に不向きな事をあんなに頑張った事はないです。 400kmの距離も、12歳も年下だったことも、あまりに好き過ぎて、周りが見えなくなっていました。      あききぬと思えど散らね君が面(おも) 震える手でまた メール打つらむ   (貴方はもう私に飽き飽きしているとわかっているんだけど、貴方の顔が目の前にどうしても浮かんでくる。嫌われるかもしれないと思うと震えが止まらないけど、私はまたメールを打つことでしょう)      まるで嘘みたいにスラスラ書けた事に、自分が一番驚いた。更に驚いたことは、 「いや、いつも趣向を変えてくれて楽しいぞ。」 とメールが、返ってきた事。とても嬉しくて、せつなさの
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加