ドッペルゲンガー

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「えぇ、吹芝満(22)上代医科大学の医学部に二年生だそうです。高校在学中に恐喝・暴行で逮捕歴がありますね…。」 「そんな風に見えないのに…。」 芹沢が写真を見つめながら、首を傾げる。 「受験勉強のストレス解消にとオヤジ狩りをしてたようですな…。」 「ひでぇことしやがるなぁ。それで今回は逆にボコられたか。」 三浦が自業自得だと付け加える。 「他に何かあるか?」 伊丹が聞く。 「遺留品が殆ど見つかっていないのが気になりますね。携帯も意図敵に持ち去れたのではないかと…。それとやはり、現状は綺麗なモノです。毛髪等在っても良さそうなのですが、帽子等で手掛かりになりそうな物は残さないようにしてますね。雨で下足痕も流されてますし…。」 「犯人に繋がる有力な物はないか…。どうしたもんかねぇ?」 伊丹のシワが三割増になる。 「そういえば、あのホルマリン付の遺体の身元も分りましたよ。」 行き詰まった空気を変えるために米沢が言う。 伊丹の表情が一瞬にして変わる。 「別に、俺達はその事件にゃ関係ねぇよ。」 「先輩…、少しは素直になりましょうよ。」 芹沢が伊丹の肩に手を置く。
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