トリオ･ザ･捜一の事件簿

ドッペルゲンガー

｢でも、何のためにその人は久貝の名を語る必要があったのでしょう。｣

次は、米沢が疑問を投げ掛ける。

｢誰かに何かを伝えるためとか?｣

芹沢が人差し指を出し、自信ありげに答える。

｢別に、誰かの名を語る必要ねぇだろ。反って、わかりにくくないか。｣

伊丹がここぞとばかりにけなす。

｢だから分りにくく、その人にしか伝わらない方法だったとか…。｣

なんとなく現実味を帯びている芹沢の答えに、皆が考え込む。
しかし、一向に答えは出ない。

｢現在判断するには、いささかピースが足りないようですな。｣

米沢がその場をまとめる。

｢そのようだな。とにかく、久貝の名を語った人物を探し出すか。｣

三浦が言うと、三人はまた病院に戻る事にした。

彼は自分自身に出会ってしまったがために、殺されてしまったのだろうか。

もう一人の自分が邪魔の自分を消すために…

まるでドッペルゲンガーだな。
そういや、FBIの研修の時、奇妙な捜査資料に載ってたな。
どっちにしろ、必ずもう一人見つけ出してやる。

窓から見上げる空は紅い。
今、三浦の胸にも同じ色の決意が生まれた。