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またかよと飽きれながら、三浦が代わりに芹沢に問い直す。
「で、エンバーミングってなんだよ?」
芹沢は、改まり人差し指を挙げ、いかにも変人警部を思わせた。
「エンバーミング。主にアメリカ、海外で使用されている死体修復技術のことですねぇ。」
伊丹が眉間に皺を寄せ、米沢を睨み付ける。それに耐えられなくなった、米沢は伊丹から視線を逸らして
「えぇ。その通りです。」
『バシッ!!』
「いてっ!!何するんですか?!」
頭を押さえ、へこたれた髪を立て直す。
「なんかムカついた。」
「ひどいですよぉ。」
ぶつくさ言ってる芹沢を避け、三浦は遺体を確認する。まるで柩の中の死体のようだと考えていた。
「でも、なんでまたそのエンバーミングとかいう手間の掛かることをしたんだ。」
隣りに芹沢がしゃがんで
「それになんなんですかね?この黒い花は。」
「全くの謎ですねぇ。」米沢も芹沢に同意する。
「ところで、害者の身元は?」
伊丹は懐から手帳を抜き、米沢に尋ねた。
米沢は手元の資料に目線を落としながら、答える。
「それが身元に繋がるような所持品はありませんでした。死因も解剖待ちでしょうなぁ。」
「なんだよ。なにもわかってねぇじゃねぇか。」
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