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何処からか風を切る鋭い音がして、如月が崩れ膝をつく。
「おっ、おい!!」
伊丹が屈むと如月の腹部は真っ赤に染まっていた。
「くっそ!!救急車だ!!早くしろ!!なんでだ!おいっ!!しっかりしろ!如月!!」
芹沢が救急車を呼びに走り出す。
伊丹は崩れ落ちた如月を抱き真っ赤に染まる腹部を懸命に押えていた。
「うっ…、いた…み。いた…。」
如月は何かを探す様な手つきで宙をかく。
伊丹がその手をつかむ。
「しっかりしろ!!如月!!」
「なんだ…お前、また怪我…したのか。」
如月が伊丹の傷口に触れる。
「バーカ。テメェのせいだろ。」
「あぁ…、そうだっ…け。はや…く手当てしなきゃ…な。」
「うるせぇよ。お前が先だろ。」
「フッ、いた…み、ごめん…な。」
「何を今更。もうしゃべんな!バカ。」
如月は伊丹の耳元に顔を近付け、何かを囁いた。
そして、小さく笑い重くなっていく。
「おい!!なんだよ!目開けろよ!おい!!」
伊丹が必死に如月を揺らすが彼女は伊丹を見ない。
「ふざけんなよっ!おい!如月!!」
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