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『ドンッドンッ!』 「つうか、捜査は?」 「さぼった…。」 「はぁ?!」 思わず、薫は立ち上がる。 『ドンッドンッ!』 「何やってんだよお前?!」 薫は、伊丹に詰め寄った。 「気に入らねぇんだよ…。」 「はぁ?!何がだよ?」 伊丹は打ち終った銃に、弾を再装填する。 「捜査方針にも、」 『ドン!』 「あいつに罪を着せようとした奴にも!」 『ドン、ドンッ!』 「あいつの無実を証明出来ない自分にも…。」 『ドンッドンッドンッ!!カチッカチッ…』 「何もしてやれない。」 伊丹は両手をぶらんと下げて、うなだれる。 「どうしたいんだ俺は…?」 自分自身に問い掛ける。 「らしくねぇな。」 「うるせぇ。」 伊丹にいつもの覇気は無い。 「救いたいんじゃないのか?お前が犯人を挙げりゃいいだろが。」 「そうもいかねぇ。捜査外されたからな…。なーんもしてやれねぇよ。」 伊丹は拳銃を置き、薫の横を通り、出口に向かう。 「おい!お前だけなんだぞ!!彼女を救えるのは…。必ず何かをお前に残してるはずだ。」 薫が伊丹の背中に言った。 「それさえ見つけられてねぇんだよ。」
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