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伊丹は拳を握り、壁に打ち付けた。
苛立ちが隠せない。
「なぁ、お前はどうやって信じた?」
薫は一瞬考えて、明るい声で答える。
「あぁ、あのバカさ…、夢に出てきやがってよ。俺は殺してないってよ。笑っちゃうよな。まぁ、お前にも会いに来るかもな。多分な…。」
伊丹はその言葉を背中に受け、前を向き歩き出す。
その顔はいつもと同じ覇気を取り戻した。
「未熟者め…。」
薫は不器用な伊丹を笑い、羨ましさを感じていた。
ゴーグルを掛け、弾を再装填する。
ダメなら何度でもリロードしてやる。
たとえ、何かを犠牲にしようとも、その犠牲を背負い進んで行く。
不器用だけど…
それで、お前が救われるなら
俺自身が救われるなら
何度でも立ち上がろう。
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