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池袋
18:00
亀山美和子は一人高架下にいた。
辺りは、街灯も少なく、電車の行き交う音だけが響いていた。
「遅いなぁ。すっぽかされたかこりゃ。」
美和子はしきりに腕時計で時間を確認する。
待ち合わせの時間から五分も遅れていた。
『ガタンガタン』
美和子は携帯電話を取り、通話ボタンを押す。
『ピリリリリ!』
「えっ?!」
その着信音は美和子の背後から聞こえて来た。
不審に思い後ろを振返ると人影が見える。
「瀬田さん。遅いですよ~。」
美和子がかけて行く。
「かめ…うっ、にげ…。」
瀬田と呼ばれた男はその場に崩れ落ちる。
『バタッ』
「瀬田さん!!!」
その後ろには、一人の男が立っていた。
美和子は驚き瀬田の元へと駆け出した。
「瀬田さん!瀬田さん!!」
瀬田は暴行を受けたのか、顔は腫れ、口の中が切れて、血を吐いていた。
「うっ…ぁ、にげ…。」
美和子は男を見上げた。
男はバンダナを口元にかけ、覆面をしていた。
その男は目元に笑みを浮かべた。
「なんて事を!!あなたがやったの?!」
「かめやまぁ~みわこさぁ~ん。」
背後から突然声を掛けられる。
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