普通でいたい

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『今日からお友達になる鈴木 宇宙(そら)君です。みんな仲良くするのよ。』 『『はぁい』』  驚いた事にクラスのほとんどが昨日公園にいたメンバーだった。 クラスの人数が二十人未満に見えて、宇宙は自分の目を疑ってしまう。 宇宙の前の学校は一クラス四十人、三クラスはあったから約六分の一の人数だ。 宇宙の父親が新しい学校をここに決めたのも、これが理由かもしれない。  先生がチョークで黒板に名前を書いていく。宇宙は自分の名前が嫌いだった。 『宇宙!かっけぇ字書くんだな!』 鼻水を垂らした男の子に褒められる。宇宙は顔を真っ赤にした。 『ティッシュ持ってきて無いの?』 先生は優しく駆け寄り、自分のハンカチを出して男の子に鼻をかませる。 宇宙は又もや驚いた。ここの先生は何故こんなにも生徒に優しいんだろう? 前の学校では宇宙だけでは無く、他の人にも等しく厳しい先生しかいなかったのに。 ティッシュなんか忘れたら、それこそ廊下に立たされる。宇宙はそれが普通だと思っていた。
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