普通でいたい

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 宇宙が直立不動でいると、先生は優しく背中を押してくれた。席までは数歩しかなく、そこは教壇の真ん前だった。 宇宙が席に着くと、先生はそーっと耳打ちをしてくる。 『何でも相談してね。』 先生は知っている。宇宙はそれがとても心強かった。  ホームルーム終了の鐘が鳴り響く。この音だけは全国共通なのかもしれない。 終了と同時に宇宙はクラスメートに囲まれた。それぞれがバラバラに自己紹介をしてくると 『そんないっぺんに言っても覚えられないべさ。』 横から、隣に住んでいて昨日一緒に遊んだという理由で、教室でも隣の席になった美空(みく)がかばう。 『独り占めするか~?新しい風だぜ?俺らも仲良くしたいの。』 するとウドが食ってかかった。宇宙は少しハラハラしてやり取りを見守っていたが、昨日あんなに仲良く遊んでいた二人なので、どこかで安心して見ている。  悔しいけど昨日の強引な誘いのおかげで、今日は変な緊張をしなくて済みそうだった。
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