9人が本棚に入れています
本棚に追加
宇宙が直立不動でいると、先生は優しく背中を押してくれた。席までは数歩しかなく、そこは教壇の真ん前だった。
宇宙が席に着くと、先生はそーっと耳打ちをしてくる。
『何でも相談してね。』
先生は知っている。宇宙はそれがとても心強かった。
ホームルーム終了の鐘が鳴り響く。この音だけは全国共通なのかもしれない。
終了と同時に宇宙はクラスメートに囲まれた。それぞれがバラバラに自己紹介をしてくると
『そんないっぺんに言っても覚えられないべさ。』
横から、隣に住んでいて昨日一緒に遊んだという理由で、教室でも隣の席になった美空(みく)がかばう。
『独り占めするか~?新しい風だぜ?俺らも仲良くしたいの。』
するとウドが食ってかかった。宇宙は少しハラハラしてやり取りを見守っていたが、昨日あんなに仲良く遊んでいた二人なので、どこかで安心して見ている。
悔しいけど昨日の強引な誘いのおかげで、今日は変な緊張をしなくて済みそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!