普通でいたい

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 その日、宇宙は徐々にクラスに馴染んでいった。たった一日でこんなにも多数の人間と親しくなれたのは、生まれて初めてかもしれない。 この学校は、先生も優しいがクラスメートも優しかった。宇宙が普通に会話を楽しむ事が出来たのだ。余程平穏なクラスなのだろう。 宇宙はここでは上手く生きる事が出来るかもしれないと気合いを入れ直した。  放課後には初めて小学三年男子に囲まれて普通に楽しく遊ぶ事が出来た。 美空からも誘われていたが、同い年の男の子だけで遊ぶのが新鮮で楽しくて、もっともっと仲良くなりたくて断った。 …なんてのは言い訳で、女の子と遊んだりなんかしたら、男の輪に戻れなくなりそうで怖かったのが主な理由だ。 それから毎日毎日、毎時間、美空は相変わらず強引に遊びに誘ってきたが、宇宙はなるべく男の子の輪で遊ぼうとした。 もちろん美空を避ける事も無く、みんなで遊ぶ時は遊んでいる。 だけど、宇宙は美空と二人っきりで遊ぶのは引っ越しの日だけにしたかった。
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