対照的な二人

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『わっ美空!おにぎり持っていきなさい!何か食べなきゃ…』 『お腹空いた~早くして~ジュースもね!』 『はいはい。』  慌てて作ったおにぎりを渡しながら、宇宙の方を向き 『ごめんね。仲良くしてやってね。』 と少し申し訳なさそうに美空の母は言った。きっといつも振り回されているのだろう。美空は受け取った荷物を何気なく宇宙に渡し 『早く行こう!』 と走りだした。荷物を預かってしまった手前、ついて行かない訳にもいかない。宇宙はよく知らない道を走りながら、迷子になったらどうしようと考えていた。 美空の方はそんな事も露知らず駆け慣れた道を一人突っ走っていく。 女の子にしては脚が速いし、自分は荷物を持たされているし、慣れない道だし、段々と宇宙は虚しさを感じてきた。なぜ自分はここに居るのかよく分からないのだ。 『ここ!見て秘密基地!』  宇宙が目を上げるとそこには立派な木があって、枝の間に下手くそな床板が打ち付けられていた。 『秘密基地なんて見せても良いの?』 宇宙は不安そうに周りの様子を確認している。 『大丈夫。私のお父さんが作った物だから。ええっと築三十年!』 『ええ~!登って大丈夫なの?』
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