桜階段2

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あの日起こった事を、覚えている限り語りたいと思う。 あの日は桜が満開だった。 そう、僕は桜に見とれていて、さち子の話をあまり聞いてあげる事を出来なかった。 「ケン坊!さち子お花のかんむり作れるんだよ。」 母ちゃん…桜が好きだったよな…なんてさち子が生まれる前に、二人で散歩に出かけた日の事を思い出していたんだ。 「ケン坊にあげるね。」 その日は母さんの誕生日だった。 少し離れた所で、さち子がたんぽぽを使って花冠を作っているのを確認してから、僕は桜に登れば持って帰れるんじゃないか?なんて小さな頭で一生懸命考えていた。 大人が近くにいない。あの時は絶好のチャンスだと思っていたんだ。 今考えればこの幼い考えが無ければさち子は死ななかったのかもしれない。 さち子はやはり僕が殺したんだ。
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