桜階段2

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…僕は木の枝を掴み、登れる事を確認した。 登りきるまでそんなに時間はかからなかった。 僕が木の上でバランスを取ってどこに座ろうか考えていると、 「あぶないよ!」 とさち子が声をかけてきた。 さち子の声を無視して、僕は桜の太い枝と枝の間に自分のお尻を置き、不安定ながらも座る事に成功した。 「さち子、そこから動くな!すぐ終わるからな!」 僕は確かにこう声をかけたと思う。 「さくらは折っちゃダメなんだよ~!」 さち子は桜の木の下に駆け寄ってきてしまった。それでも僕は構わずに桜の枝を祈る事にした。 …場所は不安定だったけど、何があってもいつもどうにかなっていたから油断していたんだ。 「ケン坊…さくらがかわいそうだよ。」 さち子には本当に桜が痛がっているように見えていたのかもしれない。泣きそうになっていたし、慌ててもいた。 「ケン坊落ちると危ないってば!」 さち子が桜の木を揺らしてくる。
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