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母が亡くなって二十年。
僕も年を取った。死を意識する年齢になったのだ。
僕は急にさち子に会いたくなった。罪を償い僕と同じお墓に入れようと思ったのだ。
「さち子ごめんよ…思い出した時にはこんなに年を取ってしまっていた。怒っているだろうな?」
手を合わせて祈る。
「あれは事故だった――――すまない…また…言い訳になってしまった。」
僕はずるい人間だ。そういう生き方をしてきたんだ。言い訳しか出て来ない。
僕は夜中に桜の木の下を掘り起こした。業者を呼ぶ前に本当に有るのか確認したかったのだ。
まだ心の何処かで逃げたい気持ちと葛藤していたのかもしれない。
そんな僕の心とは裏腹に、桜の木の下から小さなバラバラの白骨と、埋められたばかりの雀の死骸が大量に出てきた。
僕はバラバラになった白骨の一部を持ち上げ、両親がさち子を鉈で小さく切り刻んだ事を知った。
僕の可愛い妹は僕の為に愛する両親に切り刻まれ、冷たい雨の中を一人寂しく埋められたんだ――――
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